日本金属学会誌

J. Japan Inst. Metals, Vol. 8, No. 10 (1944),
pp. 564-568

硬質クロム鍍金の硬度に就いて

吉田 進1

1機械試驗所

Abstract:

硬質クロム鍍金を軟鋼の上に施した試料について,加熱による結晶構造の變化をX線及び電子線を用ひて調べで以下の如き結果を得た; (1) 硬度の高いクロム鍍金はX線の背面反射寫眞の廻折線に著しい擴散を生ぜしめる. (2) X線の廻折線の擴散は,加熱による硬度の減少に丁度相伴つて減少する. (3) 10μ程度の厚さのクロム鍍金層について電子廻折により測定した格子常數は〓よく燒鈍された通常のクロムのそれより相當大きい(約1%) が, X線廻折により40μ程度のクロム鍍金層について撮影した寫眞から測定した格子常數にはそのやうな大きな増大は見られなかつた. (4) 電子線廻折からの結果によると,クロム鍍金層の再結晶は少くとも600°以上でなければおこらない;以上の結果と,從來の研究の結果を綜合して,次の如く推論した.即ち(1) 硬質クロム鍍金層においては10mu;程度以下の厚さのものにおいて大きな引張りの内部應力が存在するが,鍍金層が厚くなるに從ひ割れ目の發達により應力は表面から次第に解消して行く. (2) この内部應力は大體において吸藏水素量と相伴つて大きく從つて有孔度もこれ等に伴つて大きい. (3) 内部應力が誘因となつて生じた鍍金層中の不均一な歪と,吸藏水素の固溶にょる歪が原因となつてクロム鍍金層を硬化せしめる. (4) 加熱による歪硬化が除かれ,第二段に内部應力による歪硬化が除かれる.


(Accepted 1944/08/15 Published 1944/10/20)

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