日本金属学会誌

J. Japan Inst. Metals, Vol. 8, No. 10 (1944),
pp. 551-559

A1變態の再檢討

岩瀬 慶三1

1東北帝國大學金屬材料研究所

Abstract:

從來熱分析によつて平衡圖を定める方法が廣く行はれて來たが,これは合金類に於ては液體が過冷することが少いからである.ところがこの方法が便利なので固態に關しても熱分析を主としこれのみにて不充分なるときは,その後に發達した種々の方法を併用して精密を期して來たのである.從つて過冷現象をしばしは認めてゐながら平衡圖相律及び異相變化に關して近似的と見做され難いような場合にもこの點を閑却して來た.鋼の場合にもこのような觀念の下にマルテンサイトの生成を解かんとしたために多くの無理を生じてゐたのである.本論文は不變系變化としてのA1變態S〓P+Kは觀念的であつて實在せず,實際に起る變化は過冷,過熱状態として平衡圖によつてその内客を窺知すべきものなることを明らかにしたものである.滲炭用鋼の異常組織の生成機構もこのような觀點からすれば無難に解決出來,鑄鐵に於て冷却時に於ける700°附近に於ける黒鉛の生成に就いても新しい解説が生れるのである.


(Accepted 1944/03/26 Published 1944/10/20)

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